令和5年1月28日、藤沢周平の『海鳴り』上巻を読み終えた。時代小説。
主人公は小野屋新兵衛。たたき上げの紙商。40代半ばであり、年齢による様々な変化を感じている。過去には女中だった女性を囲ったこともあり、そのことは夫婦の間に溝を作り、家庭には冷たい空気が流れている。
この上巻では様々ないきさつがあり、同業の丸子屋のおかみであるおこうに新兵衛が惹かれていく姿が描かれる。道ならぬ恋であり、当然彼は突き進んでいくようなことはしない。
物語の中心となる主人公の心の動きと彼を中心とした人間関係の背景となる江戸の描かれ方も興味深い。紙の商い、その流通のあり方、登場人物の生活など、読みどころが多くあった。
著者藤沢周平(1927~1997)は山形県の生まれ。(参考文献1,2)
藤沢周平著/海鳴り 上巻(文藝春秋、1987年)
〈参考文献〉
1.小菅繁治著/兄藤沢周平(毎日新聞社、2001年)
2.廣瀬誠著/藤沢周平。人生の極意(PHP研究所、1997年)
〈参考ページ〉
登場人物の名前の漢字表記などは次のページを参考にさせていただきました。
(敬称略)
(『海鳴り 上巻』はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)
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