2024年1月21日から1月末日までの期間に次の5冊を読み終えた。1と5はkindle版をiPhoneのVoiceOver機能で聴く。
1.荒俣宏著/帝都物語 第参番(KADOKAWA、2001年)
2.E.W.サイード著、中野真紀子早尾貴紀共訳/戦争とプロパガンダ(みすず書房、2002年)
3.楠戸義昭著/醍醐寺の謎 京都の旅 秀吉「最後の花宴」に隠された歴史の真実(祥伝社、2003年)
4.船戸与一著/雷の波濤 満州国演義 7(新潮社、2012年)
5.牧角悦子著/詩経・楚辞(KADOKAWA、2012年)
〈感想、メモ〉
1.荒俣宏著/帝都物語 第参番(KADOKAWA、2001年)
長編小説。この第参番には、「魔王篇」と「戦争篇」が収められる。
「魔王編」には、蔵相の時の高橋是清が登場する。
〈関連記事 高橋是清についての記述のある『検証 財務省の近現代史~政治との戦い150年を読む~』(倉山満著、光文社)を読んだ記録を含む記事〉
是清のほか、石原莞爾、北一輝、甘粕正彦、幸田露伴といった歴史上の著名人も登場する。
甘粕は新京のヤマトホテルを拠点として活動する様子が描かれていて印象に残る。
〈関連記事 甘粕に関する記事のある『東条英機』(太田尚樹著、角川学芸出帆)を読んだ記録を含む記事〉
「魔王篇」では、昭和初期の劇中、登場人物たちが銀座ラスキン文庫を訪れる場面が印象的だった。ジョン・ラスキンに傾倒する御木本隆三が開いたコーヒーハウスであると説明されている。
〈関連記事 その中でラスキンがミニマリストのルーツの一人に数えられている『より少なく生きる』(ジョシュア・ベッカー著、桜田直美訳、かんき出版)を読んだ記録を含む記事〉
「戦争篇」では、「巻二 陰謀と野望」の中の「五 内なる敵」で描写される昭和20年1月27日の有楽町駅周辺への爆撃の様子が記憶に残る。
また、「戦争篇」のエピローグの後には、「サブリミナル小説 解放されるトマーゾ」が収録される。
2.E.W.サイード著、中野真紀子早尾貴紀共訳/戦争とプロパガンダ(みすず書房、2002年)
「訳者あとがき」によると、本書は、エジプトの英字新聞である「アル・アフラーム・ウィークリー」に掲載された文章とデイヴィッド・バーサミアンによる著者へのインタビューから成るものである。インタビューの中で示されたビンラディンと合衆国との関係についての見解が記憶に残る。
〈関連記事 ビンラディンと合衆国との関係について触れられている『ディープステートの真実』(西森マリー著、秀和システム)を読んだ記録を含む記事〉
3.楠戸義昭著/醍醐寺の謎 京都の旅 秀吉「最後の花宴」に隠された歴史の真実(祥伝社、2003年)
醍醐の花見の際の和歌が書かれた短冊などからなぜ醍醐寺でこの花見が催されたのか、豊臣秀吉と周囲の人々の様子はどのようだったのかといったことが考察される本である。
〈関連記事 醍醐寺が物語に登場する短編小説「桜の寺殺人事件」が収録される『花の寺殺人事件』(山村美紗著、講談社)を読んだ記録を含む記事〉
藤戸石について書かれた部分を興味深く読む。佐々木盛綱が戦闘の勝利につながる情報を提供した両氏を殺したという出来事に関係のある石である。
〈関連記事 藤戸についての記述のある『平家物語』(KADOKAWA)を読んだ記録を含む記事〉
4.船戸与一著/雷の波濤 満州国演義 7(新潮社、2012年)
この巻は敷島次郎がペタン元帥の降伏声明の要旨を新聞で読む場面から始まる。
印象的だった部分二つ。(1)大観園についての部分。グロテスクであった。(2)海南島の黎族についての箇所。彼らの信仰である鬼神信仰についての説明や民族の料理である竹筒飯の描写など。
〈関連記事 大観園についての記述のある『阿片王』(佐野真一著、新潮社)を読んだ記録を含む記事〉
5.牧角悦子著/詩経・楚辞(KADOKAWA、2012年)
『詩経』と『楚辞』の解説書。
『楚辞』の「招魂篇」を開設する文章「招魂と「ほたるこい」」が印象的だった。招魂篇では、魂を呼び戻すための言葉が紡がれる。東西南北の四方向のそれぞれの住みづらさが表現されており、興味深い。その一つ、東の棲みづらさは九つの太陽で表現されている。『孟子』に収録されていた羿の伝説を思い出す。
〈関連記事 九つの太陽を羿が射落とした伝説について語られる箇所のある『孟子』(佐野大介著、KADOKAWA)を読んだ記録を含む記事〉
(以上、敬称略)
(『戦争とプロパガンダ』と『醍醐寺の謎』、『雷の波濤』はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様関係者の方々に感謝申し上げます。)
コメント