白蔵盈太著『義経じゃないほうの源平合戦』などを読了

令和5年4月17日から22日までの期間に次の本を読み終えた。1.2.4.5.はkindle版をiPhoneのVoiceOver機能で聴いた。

1.藤原審爾著/総長への道 前編(角川書店、2014年電子書籍版発行)

2.烏賀陽正弘著/ユダヤ人の「考える力」 苦難に耐え、克服する三千年の知恵(PHP研究所、2010年電子書籍版発行)

3.永井路子著/平家物語 古典の旅7(講談社、1990年)

4.白蔵盈太著/義経じゃないほうの源平合戦(文芸社、2022年電子書籍版発行)

5.山田史生著/絶望しそうになったら道元を読め!~『正法眼蔵』の「現成公案」だけを熟読する~(光文社、2012年電子書籍版発行)

6.北森鴻著/狂乱廿四孝/双蝶闇草子(東京創元社、2016年電子書籍版)

〈メモ〉

1.藤原審爾著/総長への道 前編(角川書店、2014年)

昭和の任侠小説。昭和の初期、戦争のころ、資本主義経済の社会により、任侠の世界も変化しつつあった。群像劇。主に昔ながらの任侠、前田一家の不動、酒造屋の若旦那の信次郎の二人が軸となり、物語が進行する。

2.烏賀陽正弘著/ユダヤ人の「考える力」 苦難に耐え、克服する三千年の知恵(PHP研究所、2010年)

著者烏賀陽正弘は巻末の著者紹介によると、東レで国際ビジネスに従事していた経歴を持つ(その後独立)。

タイトル通り、ユダヤ人の思考について書かれた本である。著者自身のユダヤ人との交流についても書かれている。

以下、印象的だった点二つ。(一)引用されているマイモニデスの言葉・考え。哲学者マイモニデスの言葉は「第2章 行動に移す」、「第4章 お金は力なり」のそれぞれで引用されている。自助努力について書かれた箇所の中で、「(以下引用)自由意志はすべての人に与えられている。正義の道を選び、正しく生きたいなら、それは本人の選択に任されている。その反面、悪の道を選び、不道徳になりたいなら、それも自分で選べる。(引用終わり)」という言葉が引かれる。また、第4章ではマイモニデスの金利についての考えが(少しだが)紹介されている。(二)語学学習が推奨されている点。著者は複数の言語を操るユダヤ人と接した経験があり、それが語学学習の努力への刺激となったことが述べられている。

3.永井路子著/平家物語 古典の旅7(講談社、1990年)

作家である著者が、熊野や赤間神宮など、『平家物語』ゆかりの地を訪れる。作家の視点で『平家物語』が論じられているのが面白かった。

本編は、平重盛、平維盛、平重衡、建礼門院についての四つの章から成る。

また、朧谷寿による解説の中で、九条兼実の日記と『平家』の異なる点が指摘される。

4.白蔵盈太著/義経じゃないほうの源平合戦(文芸社、2022年)

源範頼を主人公とした歴史小説。軽妙なタッチで描かれ、読みやすい。軽妙さだけでなく、頼朝と義経の間に立つ主人公範頼の苦悩も描かれており、興味を持って読んだ。

5.山田史生著/絶望しそうになったら道元を読め!~『正法眼蔵』の「現成公案」だけを熟読する~(光文社、2012年)

『正法眼蔵』についての書籍。今回は「前後際断」の言葉が印象に残った。

6.北森鴻著/狂乱廿四孝/双蝶闇草子(東京創元社、2016年電子書籍版)

明治初頭に起こる殺人事件を描く推理小説。黙阿弥、三世澤村田之助、河鍋狂斎らが登場。劇中、澤村田之助が「本朝廿四孝」を演じる場面が描かれる。

先日、成毛眞の『ビジネスマンのための歌舞伎案内』を読んだ。以下、同署から歌舞伎の「三姫」について述べた部分の引用。「美しいだけでなく、演じるのが難しいとされているお姫様訳」。引用終わり。その三姫の一人が「本朝廿四孝」の八重垣姫である。

この「本朝廿四孝」について書かれた本を読もうと思い、今回この『狂乱廿四孝』を読んだ。歌舞伎以外にも食事の様子や生活のあり方など、江戸の雰囲気を残す明治の東京が描かれており、興味を持って読んだ。

〈『ビジネスマンのための歌舞伎案内』を読んだ記録を含む記事〉

貴志祐介著『天使の囀り』などを読了

〈引用文献〉

成毛眞著/ビジネスマンのための歌舞伎案内(NHK出版、2014年)

(敬称略)

(『平家物語』はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)

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