令和5年11月1日から12日までの期間に次の本を読み終えた。1、4,5,7,8はkindle版をiPhoneのVoiceOver機能で聴いた。
1.齋藤孝著/使える!『徒然草』(PHP研究所、2005年)
2.田渕句美子著/十六夜日記(山川出版社、2005年)
3.小林祥晃著/風水の法則 ツイて、ツイて、ツキまくる史上最大の開運学(廣済堂出版、1995年)
4.今村仁司著/アルチュセール全哲学(講談社、2022年)
5.ジョシュア・ベッカー著、桜田直美訳/より少ない生き方 ものを手放して豊かになる(かんき出版、2016年)
6.筒井康隆、蓮實重彦著/笑犬楼vs.偽伯爵(新潮社、2022年)
7.ドミニク・ローホー著、原秋子訳/屋根ひとつ お茶一杯 魂を満たす小さな暮らし方(講談社、2015年)
8.ミシェル・フーコー著、慎改康之訳/知の考古学(河出書房新社、2012年)
9.中村文則著/教団X(集英社、2014年)
〈感想、メモ〉
1.齋藤孝著/使える!『徒然草』(PHP研究所、2005年)
齋藤孝による『徒然草』の解説本。「第一章 上達の秘訣」、「第二章 生きるのが楽になる知恵」、「第三章 人生を深く味わう極意」から成る。第一章の中の第百十段(勝負ごとの上手な人に秘訣を尋ねた話)に関する文章が印象に残った。
というのも、「序」において、第百十一弾が引かれており、その内容は勝負事日々の時間を使うことは五逆よりも度合いのまさる罪だといった意味のことをある聖から聞いたことについてのものなのである。この二つの段が続いておいてあるあたり、兼好のパーソナリティに興味の湧いたところであった。
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2.田渕句美子著/十六夜日記(山川出版社、2005年)
藤原為家の死の後に訴訟のために鎌倉幕府へ向かった阿仏尼の手記。東海道を下る様子、鎌倉での生活などが綴られる。
〈関連記事 阿仏尼についての記事が収録される冷泉貴実子の著作『冷泉家八〇〇年の「守る力」』を読んだ記録を含む記事〉
3.小林祥晃著/風水の法則 ツイて、ツイて、ツキまくる史上最大の開運学(廣済堂出版、1995年)
風水の本で、インテリアの話も登場するのだが、龍の絵などが推奨されており、統一された内装にするにはセンスが要求されそうだと感じた。
4.今村仁司著/アルチュセール全哲学(講談社、2022年)
『マルクスのために』と協同著作『資本論を読む』(全二巻)という二つの出版物がアルチュセールとの決定的な出会いであったという著者によるアルチュセール哲学の解説本。
「プロローグ 破滅型の思想家」、「第一章 学問への旅立ち」、「第二章 内容と真空」、「第三章 カトリシズムとマルクス主義」、「第四章 重層的決定の概念」、「第五章 徴候的読解」、「第六章 理論的革命」、「第七章 イデオロギーの理論」、「第八章 偶然の唯物論に向けて」という構成である。
巻末に収録される略年譜とキーワード解説がありがたく感じられた。学習の助けになると思われる。
5.ジョシュア・ベッカー著、桜田直美訳/より少ない生き方 ものを手放して豊かになる(かんき出版、2016年)
ウェブサイトBecomingMinimalist.comの創設者・編集者であるジョシュア・ベッカー(Joshua Becker)による書籍。(以下、第13章からの引用)「具体的なミニマリズムの方法だけでなく、ミニマリズムの本来の目的も読者に伝える」(引用終わり)という目標の設定とともに本書は書き始められたとのことである。
ミニマリストも多様であるが、本書の著者は家族と暮らすミニマリストである。
再読であるが、今回は第2章の「物を減らして自由に」の中で紹介されるデュエイン・エルジンの談話が印象に残った。ミニマリズム運動の起源はイエスやブッダらの教えであるという考えが示されている。
この本では、同時代人のミニマリストの言葉なども引用されるが、以前に読んだ『minimalism』の著者、ジョシュア・フィールズ・ミルバーンとライアン・ニコデマスについても記される。
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6.筒井康隆、蓮實重彦著/笑犬楼vs.偽伯爵(新潮社、2022年)
対談と往復書簡が収録される。両著者が大江健三郎作品を論じる部分が記憶に残る。
巻末著者紹介によると、筒井康隆は1934年大阪の生まれ、蓮實重彦は1936年東京の生まれ。
7.ドミニク・ローホー著、原秋子訳/屋根ひとつ お茶一杯 魂を満たす小さな暮らし方(講談社、2015年)
再読。「小さな部屋」の魅力、実利について語られる本。「はじめに」において、著者がパリのアパルトマンの屋根裏部屋の購入を(その部屋に入るなり)決断するというエピソードが紹介される。マレ地区(パリ3区)の公園を真下に見ることのできる場所にある部屋であるらしい。
〈関連記事 マレ地区の紹介も収録されるドラ・トーザンの著作『パリジェンヌのパリ20区散歩』(河出書房新社)を読んだ記録を含む記事〉
以下、今回印象に残った部分二点。(一)エピグラフ。例えば、一番目の章の前にはモンテーニュの言葉が置かれている。配置される言葉はそれ単独でも興味深いのだが、本文の内容にも立体性を与えているように思われる。(二)豊富な実例。狭い部屋に住まいながら、豊かな精神生活を送った先人たちの例が多く紹介される。今回印象的だったのは、エリック・ホッファー、H.D.ソロー。
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8.ミシェル・フーコー著、慎改康之訳/知の考古学(河出書房新社、2012年)
この『知の考古学』は、著者ミシェル・フーコーの研究方法について書かれた書籍である。
「言表」という用語について説明される「Ⅲ 言表とアルシーヴ」を興味を持って読む。
9.中村文則著/教団X(集英社、2014年)
現代日本が舞台の新興宗教が題材となる長編小説。作中で登場人物が語る初期仏教についての話が興味深く感じられた。新興宗教のほか、国際問題、歴史観など、さまざまな事柄が描かれた物語である。巻末には、仏教に関する中村元の著作などが並ぶ参考文献リストが付されている。
巻末著者紹介によると、著者中村文則は1977年愛知県の生まれ。
(以上、敬称略)
(『十六夜日記』、『風水の法則』、『笑犬楼vs.偽伯爵』、『教団X』はサピエ図書館の蔵書で読みました。音訳ボランティアの皆様、点訳ボランティアの皆様、関係者の方々に感謝申し上げます。)
(上の画像はAI PICASSOにより生成されました。2024年8月6日加筆)
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