令和5年2月24日、江村洋の著作、『ハプスブルク家』を読み終えた。kindleをiPhoneのVoiceOver機能で聴く。
前日の23日に読了した『オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史』の中でオスマン帝国とハプスブルクとの対立の様子が印象的だったので、この書籍を読むことにした。
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小笠原弘幸著『オスマン帝国――繁栄と衰亡の600年史』を読了
ハプスブルク家の歴史を読むことができる本である。軽快な文体に感じられ、とても読みやすかった。ハプスブルク家の人々の個性が鮮やかに描かれている。
中でも、ルドルフ一世、カール五世、マリア・テレジアの三人のパートを興味深く読んだ。
ルドルフ一世は1273年に王に選ばれる。在位期間も様々な問題が起こるが、その我慢強い性格で事態を克服していく。所謂英雄的な人物ではなかったようだが、その地味さが逆に印象的であった。
カール五世は、エラスムスの寛容の精神に影響を受けていたというエピソードが印象的だった。また、カール五世は自ら「問題解決のため(本文中の表現)」に非常に広大な領域内を移動したとのことである。その領域とは、マドリッド・ロンドン・ウィッテンベルク(東ドイツ)・ウィーン・ナポリ・チュニス・アルジェという都市群を結ぶ線の域内の土地である。
マリア・テレジアに関するパートの中では、プロイセンとの争いについて書かれた部分を興味深く読んだ。
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どの人物のパートも、短編小説を読んでいるような感覚で読んだ。
以下、「」内は、『ハプスブルク家』の「目次」からの引用。「はじめに――ヨーロッパにおけるハプスブルク家」、「序章 ハプスブルク家の揺籃期――ルードルフ一世からマクシミリアン帝へ」、「第1章 マクシミリアン一世――華麗なるブルゴーニュ文化のさなかで」、「第2章 カール五世とその時代――太陽の没することなき帝国」、「第3章 ウィーンとマドリッド――ハプスブルクの枢軸」、「第4章 マリア・テレジア女帝――恵み豊かな治世」、「第5章 会議は踊る――三月革命の前夜」、「終章 民族主義の嵐のなかで――ハプスブルク帝国の落日」、「あとがき」。章のタイトルの引用終わり。
この電子書籍の底本は1990年に講談社現代新書として刊行されたものであるとのこと。
江村洋著/ハプスブルク家(講談社、2012年電子版発行)
(敬称略)
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