以下の4冊は、2022年3月14日から16日までの期間に読み終えた本である。
1.ジョーダン・ピーターソン著、中山宥訳/生き抜くための12のルール 人生というカオスのための解毒剤(朝日新聞出版、2020年、電子書籍版)
2.船山馨著/放浪家族(集英社、1979年)
3.五代ゆう著/グイン・サーガ第143巻 永訣の波濤(早川書房、2018年、電子書籍版)
4.五代ゆう著/グイン・サーガ第144巻 流浪の皇女(早川書房、2018年、電子書籍版)
〈感想、メモ〉
1.ジョーダン・ピーターソン著、中山宥訳/生き抜くための12のルール 人生というカオスのための解毒剤(朝日新聞出版、2020年、電子書籍版)
『生き抜くための12のルール 人生というカオスのための解毒剤』の著者ジョーダン・ピーターソンはカナダの臨床心理学者。「(以下引用)わたしは、モントリオールのマギル大学で臨床心理学者になる訓練を受けた。(引用終わり)」と、Rule08の冒頭部分にある。YouTubeなどでも言論活動を行っている。
著者の提示する生き抜くための12のルールは「背筋を伸ばして、胸を張れ」、「「助けるべき他者」として自分を扱う」、「あなたの最善を願う人と友達になりなさい」、「自分を今日のだれかではなく、昨日の自分と比べなさい」、「疎ましい行動はわが子にさせない」、「世界を批判する前に家のなかの秩序を正す」、「その場しのぎの利益ではなく、意義深いことを追求する」、「真実を語ろう。少なくとも」、「あなたが知らないことを相手は知っているかもしれないと考えて耳を傾ける」、「正直に、そして正確に話す」、「スケートボードをしている子どもの邪魔をしてはいけない」、「道で猫に出会ったときは、撫でてやろう」である。
上記のルールの中で最も印象的だったのは、Rule01の「背筋を伸ばして、胸を張れ」であった。ここでは、ロブスターとわれわれ人間との共通点が説明され、そこからこのルール「背筋を伸ばして、胸を張れ」が導かれる。ロブスターの社会で起こる競争・勝負で勝者と敗者が生まれるが、勝者はより高みに、敗者はより不利な状況へと向かうことになる。勝利が招き寄せる良いこと、敗北が招く悪いことが綿密に説明される。臨床心理士でもある著者の臨床からも例が挙げられ、興味深い。ロブスター、人間の状況を説明する根拠の一つとして、セロトニンが登場する。現代人にはなじみの物質である。敗北したロブスターにおいてはセロトニンの減少がみられるとのことで、これは人間におけるセロトニンの一般的な説明を考え、とても分かりやすいと感じられた。仮に廃車となったとしても、自ら姿勢をよくするべきであるという著者のメッセージは道理にかなったものであるように思われた。
この本においてはビーイングという語が用いられる。その理由の一つとして、著者がハイデガーから影響を受けていることが挙げられている。
2.船山馨著/放浪家族(集英社、1979年)
船山馨の『放浪家族』は会社員の男性とその家族を中心に描かれた小説。とても面白かった。
主人公の娘の北海道旅行を描いた章が印象に残った。支笏湖の風景などが登場する。
解説は進藤純孝。
著者紹介によると、著者船山馨は1914年札幌の生まれ。
3.五代ゆう著/グイン・サーガ第143巻 永訣の波濤(早川書房、2018年、電子書籍版)
グイン・サーガ143巻の『永訣の波濤』の中ではリギアのエピソードが面白かった。
「第一話 影はささやく」、「第二話 永訣の波濤」、「第三話 牢の中の聖者」、「第四話 ワルスタット虜囚」という構成。
「第一話 影はささやく」の前半にはスーティが登場する。ストーリー展開にやや驚いた。
4.五代ゆう著/グイン・サーガ第144巻 流浪の皇女(早川書房、2018年、電子書籍版)
グイン・サーガ144巻の『流浪の皇女』は主人公登場ということもあり、ワルスタットのエピソード(第二話)を楽しんで読んだ。また、ゴーラ領を舞台とし、意外な展開を見せる第一話も面白かった。実務に長けており現実問題の処理に心を働かせるリギアと、避難の道中にありながら作曲に熱中するマリウスとが対照的で印象に残る。
「第一話 追うもの追われるもの」、「第二話 ワルスタットの客」、「第三話 聖都騒乱」、「第四話 流浪の皇女」という構成。
(敬称略)
(『船山馨の『放浪家族』』はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)
(『生き抜くための12のルール』、『永訣の波濤』、『流浪の女王』はkindle版をiPhoneで聴きました。)
(上の画像はLeonardo.AIにより生成されました。令和六年八月二十一日加筆)
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