令和4年10月28日、次の二冊を読み終えた。
1.福田千鶴著/徳川綱吉 犬を愛護した徳川幕府五代将軍(山川出版社、2010年)
2.中村政則著/昭和恐慌(岩波書店、1989年)
〈乾燥、メモ〉
1.福田千鶴著/徳川綱吉 犬を愛護した徳川幕府五代将軍(山川出版社、2010年)
徳川綱吉(Tokugawa Tsunayoshi,1646~1709)の伝記である。冒頭の「徳川綱吉と元禄時代」の中で、綱吉の視点に注目することで彼とその時代に近づこうと試みた旨記されている。
興味深かったのは「4.徳川王権への道」の最初の三節、「ケンペルとの問答」、「儒学への傾倒」、「仏教の外護」である。「ケンペルとの問答」の中に、謁見の際に将軍の顔を見ることができなくなったのは綱吉の時からであり、前将軍家綱の時にはそのようではなかったとあり、面白いと思う。「儒学への傾倒」では、周易を240回にわたり講じたことが記されていて、印象に残る。
巻末の著者紹介によると、著者福田千鶴(Fukuda Chiduru,1961~)は博士(文学、九州大学)、この書籍の出版当時、九州大学基幹教育院教授。
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J.K.ローリング著『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』などを読了
2.中村政則著/昭和恐慌(岩波書店、1989年)
昭和恐慌についての書籍。昭和恐慌はそれまでにない規模、長い期間(1929年から1935年の約6年間)の恐慌であったと述べられる。当時の政府の政策、国際政治情勢が開設される。
印象的な点四つ。(一)井上準之助の政策とそれとおよそ反対の高橋是清の政策について。(二)1930年4月、第58特別議会での野党政友会の三土忠造による浜口内閣への追求について書かれた部分。(三)津島壽一のニューヨーク訪問(1929年)の際のトーマス・ラモント(モルガン商会)との会見の様子。(四)井上が1931年度の緊縮予算で、官吏の減俸行おうとしたこと。
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巻末著者紹介によると、著者中村政則(Nakamura Masanori,1935~2015(参考ページ参照))は東京の生まれ。この本の出版当時、一橋大学経済学部教授。
〈参考ページ〉
『昭和恐慌』の著者、中村政則の没年はウィキペディアを参考にした。令和5年10月28日最終閲覧。
(以上、敬称略)
(上の二冊はサピエ図書館の点字データを用いました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)
(上の画像はPlaygroundにより生成されました。2024年8月13日加筆)
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