2024年2月4日から6日までの期間に次の本を読み終えた。kindle版をandroidのTalkBackで聴いた。
1.五代ゆう著/グイン・サーガ137 廃都の女王(早川書房、2015年)
2.入不二基義著/ウィトゲンシュタイン 「私」は消去できるか(NHK出版、2006年)
3.井上靖著/道・ローマの宿(新潮社、2014年)
〈感想、メモ〉
1.五代ゆう著/グイン・サーガ137 廃都の女王(早川書房、2015年)
グイン・サーガの第137巻である。再読。以下、「」b内に目次から各章のタイトルを引用する。「第一話 廃都フェラーラ」、「第二話 猫神は語る」、「第三話 力と罪と」、「第四話 〈死の御堂〉の聖者」。以上、引用終わり。
ヴァレリウス、リギア、マリウス、スカール、スーティらが登場する。
「(以下引用)通りをはずれて郊外に出ると、赤土でできた条が縦横に走り、白く粉を吹いた土が広がる荒地に出た。ほかではあれだけ繁茂していた草木が、ここでは一本も生えていない。神殿のあるらしい林が、ここからまっすぐ見通せる。白く焼けて固まった土の上に、牛馬らしき骨や鋤鍬の残骸が放り出されている。スカールは身をかがめ、白い粉を吹いた土を少量とって慎重に舌に乗せてみた。顔をしかめて唾を吐いた。えぐい苦みと塩辛さが口に残った。(引用終わり)」
上はこの巻の中で印象に残った場面の一つ。
スカールが神殿を目指し移動する中でのシーンである。フェラーラを攻撃した軍が人々に対してのみならず、土地にも危害を加えたことが上の引用箇所の直後に説明される。軍は塩水を田畑に撒き、そこでの生産をそれ以後出来ないようにした。このように「土地」の性質も意識して他国を侵略するという行動パターンは、現実社会の集団でもしばしば見られることなので、記憶に残る。
2.入不二基義著/ウィトゲンシュタイン 「私」は消去できるか(NHK出版、2006年)
「この本のテーマ」において、この本のテーマは「(以下引用)ウィトゲンシュタインの「私」をめぐる思考を追いかけること(引用終わり)」だとしている。ウィトゲンシュタインの著作『論理哲学論考』がとりあげられた第一章を興味を持って読む。
〈関連記事 入不二基義の講演録『現代哲学ラボ 入不二基義のあるようにありなるようになるとは?』(入不二基義、森岡正博著、哲学編集部編、MIDアカデミックプロモーションズ)を読んだ記録を含む記事〉
3.井上靖著/道・ローマの宿(新潮社、2014年)
「道」、「風」、「桃李記」、「雪の面」、「壺」、「ダージリン」、「鬼の話」、「ローマの宿」、「フライイング」、「ローヌ川」、「テペのある街にて」、「アム¥・ダリヤの水溜り」が収録される。「雪の面」、「鬼の話」の二作品の印象が鮮やかだった。
(以上、敬称略)
(上の画像はAI PICASSOにより生成されました。2024年8月8日加筆)
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