渡邊哲也著『ゴーン・ショック!』などを読了

令和5年3月31日(金)、次の二冊を読み終えた。kindle版をiPhoneのVoiceOverで聴く。

1.渡邊哲也著/ゴーン・ショック! 事件の背後にある国家戦略と世界経済の行方(徳間書店、2018年)

2.結城昌治著/死体置場は空の下(講談社、1980年)

〈感想、メモ〉

1.渡邊哲也著/ゴーン・ショック! 事件の背後にある国家戦略と世界経済の行方(徳間書店、2018年)

2010年代末、世界各地でグローバリズムから反グローバリズムへの変化が見られた。そのような変化の中でカルロス・ゴーンは逮捕された。2018年11月19日、報酬の過小な申告を行った金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)での逮捕であった。

本書では日産におけるこの事件の背景や、この事件にかかわる人物たち、また、フランスという国家の性質などについて解説される。また、上に述べたグローバリズムをめぐる問題についても実例を挙げての解説がなされる。

「第1章 ゴーン逮捕の背後にある世界の経済覇権争い」、「第2章 ゴーン・ショックとアメリカ」、「第3章 強欲グローバリズムの終焉と世界秩序の激変」、「第4章 分断する世界で進む起業大再編」という構成。

当時日産自動車会長であったカルロス・ゴーン、ルノーと日産の統合に意欲を持っていたエマニュエル・マクロンフランス大統領、当時グローバリストとの論戦が話題となっていたドナルド・トランプといった人物たちが、グローバリズム/反グローバリズム、企業と政府といった図式の中でどのような位置に存在しているのかといったことが説明される。

例えばマクロンはプロランジュ法を制定したオランド大統領時代の経済産業デジタル大臣を務めていた。プロランジュ法によりマクロンはルノーへの影響力をより強めていく。

長い本ではないが、情報、その情報を足掛かりにして読者がこれらの問題を探っていくことができるようなもの、を多く収録した本ではないかと思う。

著者渡邊哲也は1969年生まれ。作家、経済評論家。

2.結城昌治著/死体置場は空の下(講談社、1980年)

令和5年3月の時点でkindle unlimitedで利用可能

推理小説。語り手は私立探偵であり、同業の探偵を手助けすることが多い。が、報酬の分配に不満を持っており、それらの交渉の様子も時々描かれている。短編集であり、しばしば描かれる登場人物たちの人情味のある行動など、良いアクセントに感じられた。

派手ではないが、面白かった。

(敬称略)

(上の画像はPlaygroundにより生成されました。2024年8月10日加筆)

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