令和5年3月25日(土)、次の二冊を読み終えた。いずれもkindle版をiPhoneのVoiceOver機能で聴く。
1.三橋貴明著/生産性を高めるために私がしていること、考えていること(PHP研究所、2016年)
2.江崎道朗著/マスコミが報じないトランプ台頭の秘密(青林堂、2016年)
〈感想、メモ〉
1.三橋貴明著/生産性を高めるために私がしていること、考えていること(PHP研究所、2016年)
令和5年3月の時点でkindle unlimitedで利用可能。
評論家三橋貴明の生産性についての書籍。面白かった。以下は印象に残ったところである。
(1)デフレーションによって職業技術の警鐘が困難になる可能性を著者が指摘している点。(2)農業の重要性を著者が説明する部分。(3)人に物事を説明する際の「具体的に語る能力」の大事さについて著者が解説する箇所(同様に、逆方向である抽象化の能力についても大事であることは本の後半部で述べられる)。(4)著者が睡眠時間を確保しているということ。
執筆活動やメディアへの出演など、その多彩なアウトプットの技術面に着目して建てられた企画であるらしく(野口悠紀雄の『「超」整理法』が想定されていたようだ)、序文は編集者が書いており、この書籍の生まれるまでが語られる。
2.江崎道朗著/マスコミが報じないトランプ台頭の秘密(青林堂、2016年)
この書籍はアメリカには日本における「(以下引用)産経新聞のような保守系の全国紙が存在しない(引用終わり)」という米国のメディアの状況の説明から始まる。ドナルド・トランプがどのようにメディアで伝えられているのか、という視点を持たねば正確な現状把握はできないようだ。メディアが左派リベラルの立場をとっていて、そこからトランプについて報道しているのだという現状認識がまず必要であることが指摘される。
そして、アメリカにおける政治、思想の状況が解説される。ここで説明されるアメリカにおける自虐史観、それらに抵抗する草の根保守運動など、アメリカ国内の思想の対立は、著者も指摘しているように、日本におけるそれととても似た部分がある。例えば共和党の中でも、保守的共和党議員もいればリベラル寄りの共和党議員もいるというような具合で、これは日本における自民党でも保守/リベラルの濃淡はあり、党内での対立も存在する。やはりそのようなことも背景として認識していないと、マスコミのトランプ報道だけを頼りにしていてはどこか特定の立場に立たされかねない。
アメリカ共産党、世界家族会議といった組織や、トランプやオバマ、ヒラリー・クリントンをはじめとしたキーパーソンたち(ロバート・タフト、バリー・ゴールドウォーター、フィリス・シュラフリー、パトリック・フェイガン、ウィテカー・チェンバース、アルジャー・ヒス等々)について書かれており、思想の対立の流れを概観することができた。
(敬称略)
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