令和5年2月19日、八切止夫の『信長殺し、光秀ではない』を読み終えた。kindleをiPhoneのVoiceOver機能で聴く。令和5年2月現在、kindle unlimitedで利用可能。
タイトル通り、織田信長を殺したのは明智光秀ではないという論が提示される本。塙保己一の文献研究の方法が審議を分けるものというよりは多数決に近いものという部分はなるほどと思わせられる。
著者はこの本を「ノンフィクション・ノベル」なのだとしている。ブログ執筆者はこの本には数年前に一度挫折している。このノンフィクション・ノベルという形式にあまりなじめなかったからではないかと考えている。「信長を殺したのが光秀ではない」という想念を持つというのは、当時は(この本は1967年に講談社から刊行されている)大変なことだったのだという想像が読者として十分にできなかったということが本に没頭するのを妨げていたように思う。
著者が古文献の内容を調べていく過程が面白い。
また、著者の織田信長像も興味深いものであった。作家により信長像が異なっており、どのような資料からそれが構成されるかを考えるのも楽しそうである。
〈信長について書かれた本を読み終えたことについての過去記事〉
著者八切 止夫(やぎり とめお、1914~1987)は小説家、名古屋市生まれ。
八切止夫著/信長殺し、光秀ではない(作品社、2013年電子書籍版)
(敬称略)
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