令和5年1月26日、中山七里の『人面島』を読み終えた。外部と隔絶した村社会で起こる殺人事件を描く推理小説である。
主人公は相続鑑定士の三津木六兵。六兵は長崎県平戸市から20キロ離れた小島に派遣される。その島は上空からの見た目がまるで人の顔のように見えることから「人面島」と呼ばれる。
三津木の任務は島の村長の鴇川行平の死亡にともなう相続での財産の鑑定である。
島には隠れキリシタンの風習が残っており、また、金銀財宝が島のどこかに隠されているという伝説も存在している。
また、鴇川家とその周辺の人間関係には穏やかならざるものがあった。
そのような中で、ある時、密室での殺人事件が起こる。
この作品には、三津木の肩に主人公に語りかける人面瘡が寄生しているという超自然的な設定がなされている。また、この人面瘡は非常に毒舌であり、口を開けば主人公を罵倒し通しである。このような点もあって、例えば『境界線』のような他の中山作品とは色合いが異なる。
著者中山 七里(Nakayama Shichiri,1961~)は岐阜県の生まれ。
点字本の巻数は全5巻、制作は西宮市視覚障害者図書館。
中山七里著/人面島(小学館、2022年)
〈参考ページ〉
登場人物の名前の漢字表記は次のページを参考にさせていただきました。
〈中山作品について記載のある過去記事〉
デヴィッド・フォスター・ウォレス著『これは水です』などを読了
(敬称略)
(『人面島』はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)
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