2022年4月22日からの三日間に以下の2冊を読み終えた。
1.ジェラルド・カーティス著/政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年(日経BP社、2008年)
2.F.デヴィッド・ピート著、管啓次郎訳/シンクロニシティ(サンマーク出版、1999年)
〈感想、メモ〉
1.ジェラルド・カーティス著/政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年(日経BP社、2008年)
『政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年』の著者ジェラルド・カーティス(Gerald Curtis,1940~)はニューヨーク生まれの政治学者。前半の自伝的パートが面白かった。著者のルーツについて語られている部分が印象的だった。父親はウクライナからの移民、著者の母親は米国生まれだがその祖父母がドイツから移民している。著者本人は「(以下引用)ニューヨーク生まれのニューヨーク育ち(引用終わり)」であり、その家庭はユダヤ系であるとのこと。言語の問題や学業、職業の問題など、著者の父親のストーリーには考えさせられるものがあった。著者はまた、若いころには音楽に夢中であったとのことで、一時期はキャッツキル山脈にあるホテルで専属ピアニストを勤めていたという。
著者が日本の政治を研究するにあたって、当時ライシャワー大使のもとで報道官を務めていたナサニエル・セイヤーに会う場面もえがかれており、面白く感じた。著者はセイヤーから中曽根康弘の秘書・小林克己を紹介される。中曽根と著者は1966年に初めて会ったようである。その後、小林克己とともに著者はある勉強会に参加。その会のメンバーは西平重喜、渡邊恒雄、俵孝太郎ら。
自民党が長期間政権を独占した理由を著者は分析する。官僚出身政治家と党人政治家とが緊張感のある関係にありながら両者が党中核に存在し続けたことだと著者は言う。ここで例として挙げられる村上勇のスピーチが面白かった。1967年の総選挙における佐藤文生の初当選で駆けつけた村上の言葉は、党人政治家である佐藤を当選させた有権者への感謝の言葉であった。党人派が一議席を得ることで、官僚政治家の議席が減ることを彼は喜び、それを聴衆に伝えているのである。
2.F.デヴィッド・ピート著、管啓次郎訳/シンクロニシティ(サンマーク出版、1999年)
『シンクロニシティ』の著者は1938年イギリス生まれの物理学者。ユングとヴォルフガング・パウリとのエピソードを興味深く読んだ。
〈関連記事 ユングの「シンクロニシティ」という概念についても解説される山中康裕の著作『臨床ユング心理学』(PHP研究所)を読んだ記録を含む記事〉
(敬称略)
(上の二冊はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)
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