次の六冊は2022年1月10日から12日までの期間に読み終えた本である。
1.佐野眞一著/阿片王 満州の夜と霧(新潮社、2005年)
2.坂東正章著/血圧は下げられる、降圧剤は止められる 心臓血管外科医の高血圧管理術(ワニ・プラス、2013年)
3.太田尚樹著/東条英機 阿片の闇 満州の夢(角川学芸出版、2009年)
4.マックス・ブルックス著、卯月音由紀訳、森瀬繚訳監修/ゾンビサバイバルガイド(THE ZOMBIE SURVIVAL GUIDE – COMPLETE PROTECTION FROM THE LIVING DEAD)(エンターブレイン、2013年)
5.星野明宏著/凡人でもエリートに勝てる人生の戦い方。 元電通マンの教師が教える(すばる舎、2014年)
6.高沢謙二著/ぐうたらでも血圧がグングン下がる50の方法(主婦の友社、2014年)
〈感想・メモ〉
1.佐野眞一著/阿片王 満州の夜と霧(新潮社、2005年)
『阿片王 満州の夜と霧』は里見甫(さとみはじめ)の伝記。里見の特異なパーソナリティー、人脈について語られる著作である。
里見の生い立ちが面白いと思った。上海の東亜同文書院に進学したということなどが印象に残る。
その他の印象的だった点二つ。(一)阿片について。やはり、里見の伝記であるので、阿片に関する記事が記憶に残る。第六章の大観園についての記事、福家俊一の証言など。(二)旧関東軍司令部の建物についての記事。里見と甘糟正彦が接触した場所である、長春にある旧関東軍司令部が刊行当時には中国共産党吉林省委員会により使用されているという記事は印象的だった。
〈関連記事 長春が舞台となる小説が収録される『落葉・回転窓』を読んだ記録を含む記事〉
津田久美子著『ルワンダに灯った希望の光 久美子のバナナ和紙』などを読了
〈関連記事 佐野眞一の著作『予告された震災の記録』(朝日新聞社)を読んだ記録を含む記事〉
ロジャー・パルバースの著作『新バイブル・ストーリーズ』などを読了
2.坂東正章著/血圧は下げられる、降圧剤は止められる 心臓血管外科医の高血圧管理術(ワニ・プラス、2013年)
『血圧は下げられる、降圧剤は止められる 心臓血管外科医の高血圧管理術』の著者は心臓血管外科医として働いたのちに開業。心臓血管外科医として心臓弁膜症手術や急性大動脈解離の手術などを行っていたとのことである。
患者とのコミュニケーションについても書かれる第3章が面白かった。患者に対して薬をやめるというゴールを提示するとのことで、非常に良心的だと感じた。
ほか、触診について書かれた部分も興味深く読む。腹部大動脈瘤の触診による発見についての記述など。
3.太田尚樹著/東条英機 阿片の闇 満州の夢(角川学芸出版、2009年)
『東条英機 阿片の闇 満州の夢』は東条英機の評伝である。
第6章の最初のパート、「痛恨の三国同盟」では、松岡洋右の判断基準の中に独ソ不可侵条約があった、という部分が印象に残る。
ほか、岸信介、星野直樹、古海忠之、塩沢清宣、甘糟正彦についての記述も興味深く読む。
著者太田尚樹は1941年東京生まれ。
4.マックス・ブルックス著、卯月音由紀訳、森瀬繚訳監修/ゾンビサバイバルガイド(THE ZOMBIE SURVIVAL GUIDE – COMPLETE PROTECTION FROM THE LIVING DEAD)(エンターブレイン、2013年)
『ゾンビサバイバルガイド(THE ZOMBIE SURVIVAL GUIDE – COMPLETE PROTECTION FROM THE LIVING DEAD』はゾンビの襲撃に対する備えについて書かれた本である。
ゾンビの襲撃の事例が掲載される。満州におけるケースなどが興味深かった。各事例は書簡など文章記録に基づいて書かれている。
ローマ時代のゾンビに対する典型的な態度として、「単に解決すべき問題の一つ」としてそれに当たるのだと著者がまとめている(177年のアクィタニアでの事例に対する著者のコメント)のが面白いと思った。
以下、ローマ、満州のほかの印象的な事例三点。(一)1971年、ルワンダでのエピソード。シルバー・バック・ゴリラの調査でルワンダに来た記者の体験談である。谷の下の方で何か動くものが見えた。ガイドはそこを早く離れたがり、記者は何者かの詳細を確認したいとガイドに頼む。結局それ以上の詳しい調査はそこではなされなかったが、ガイドが死者が歩いていると表現したとあり、興味深い。(二)1975年、エジプトでの事例。エジプトのアル・マルクでの出来事だったが、イスラエルもかかわることとなる。イスラエルがゴルダ・メイヤ首相の時代のこと。(三)1984年のアリゾナ州のケース。小学生がソラニュウム・ウイルスに感染したと思われるとここでは記されている。このエピソードにはCDCが現れるのが印象的である。
5.星野明宏著/凡人でもエリートに勝てる人生の戦い方。 元電通マンの教師が教える(すばる舎、2014年)
『凡人でもエリートに勝てる人生の戦い方。 元電通マンの教師が教える』の著者は電通在籍時にはスポーツ関連の業務に携わる。退職後は学校教員としてラグビー部の指導に当たる。戦略的な考え方が語られる。興味深く読んだ。
6.高沢謙二著/ぐうたらでも血圧がグングン下がる50の方法(主婦の友社、2014年)
『ぐうたらでも血圧がグングン下がる50の方法』では高血圧がどのような疾患につながるかということが述べられた上で、血圧に関わる「食事」、「運動」、「生活」、「メンタル」のそれぞれの面で心がけるべき点が挙げられる。
第2章は食事編で、和食やバナナ(カリウムを含有することによる)などが推奨される。
第3章では、ウォーキングが推奨されているが、「23」において、雨の日には歩かなくても良いことということがあえて節を設けて説かれているのが記憶に残る。物理的な血管への影響も語られているが、完璧主義のリスクにも言及されており、道理だと感じる。
生活面でのアドバイスが収められた第5章の冒頭に笑いについて述べられている。笑いのもたらす身体へのよい効果について述べられた後に、どのように笑えばよいかということについて著者の考えが語られる。落語や漫才なども良いが、それより「(以下引用)大事なことは、普段から笑いの習慣を持つこと(引用終わり)」とあったのが記憶に残った。
(敬称略)
(上の六冊はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)
(上の画像はPlaygroundにより生成されました。(2024年7月22日加筆))
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