2022年1月1日から3日までの期間に以下の本を読み終えた。
1.後藤健二著/ルワンダの祈り 内戦を生きのびた家族の物語(汐文社、2008年)
2.キャロル・M・ベクテル著/エステル記(日本基督教団出版局、2007年)
3.里脇浅次郎著/カトリックの終末論(聖母の騎士社、1993年)
4.栗本薫著/ヤーンの時の時(早川書房、2002年)
5.榮谷明子著/希望、聴こえる? ルワンダのラジオに子どもの歌が流れた日(汐文社、2020年)
6.宮本久雄著/「ヨブ記」物語の今日的問いかけ(新世社、2006年)
7.竹内緑著/ルワンダ 闇から光へ 命を支える小さな働き(日本基督教団出版局、2016年)
〈感想、メモ〉
1.後藤健二著/ルワンダの祈り 内戦を生きのびた家族の物語(汐文社、2008年)
アルフォンシン・ムカルゲマは1994年のルワンダのジェノサイドを生き延び、国会議員となった女性である。本書では、彼女のインタビュー、彼女の息子たちへのインタビューなどが収録される。
彼女へのインタビューの中で、当時の大統領(フツ族)が、ラジオで放送される談話の中で「アポカリプス」という言葉を用い、その言葉が「ジェノサイドの始まりの合図(本文中の表現)」だったと語られる部分があり、印象に残る。
五つ目の章である「夜の慰霊祭」には、「(以下引用)7月4日はここキガリで最初にジェノサイドが起こった日です。(引用終わり)」との文章があり、夜に行われる慰霊祭の様子が記録される。夜9時過ぎ、陸上競技のためのスタジアムに市民が集い、キャンドルを各々が持ち、ジェノサイドの体験を聴く、といった慰霊祭の様子が語られる。
著者後藤健二(1967~2015)は宮城県出身のジャーナリストである。
2.キャロル・M・ベクテル著/エステル記(日本基督教団出版局、2007年)
『エステル記』はエステル記の注解書である。『エステル記』の舞台はクセルクセス1世の治世である。エステル、クセルクセス1世、モルデカイ、ワシュティらが登場する。
著者キャロル・M・ベクテルは1959年の生まれ。
3.里脇浅次郎著/カトリックの終末論(聖母の騎士社、1993年)
『カトリックの終末論』は里脇浅次郎(1904~1996)の遺作である。
新約聖書の「地獄」の概念の形成について述べられた部分が勉強になった。
4.栗本薫著/ヤーンの時の時(早川書房、2002年)
『ヤーンの時の時』は再読。ヒロイック・ファンタジー、グイン・サーガのシリーズ第87巻。以下、目次から各章のタイトルを「」内に引用。「第一話 休戦」、「第二話 激流の如く」、「第三話 ヤーンの時の時」、「第四話 愛によりて」。以上、引用終わり。
この巻の登場人物は、主人公グイン、イシュトヴァーン、アルド・ナリス、ヴァレリウス、ヨナほか。
「あとがき」の日付は2002年の11月8日となっている。
5.榮谷明子著/希望、聴こえる? ルワンダのラジオに子どもの歌が流れた日(汐文社、2020年)
『希望、聴こえる? ルワンダのラジオに子どもの歌が流れた日』の著者は2013年から2018年までユニセフのルワンダ事務所に赴任、感染症リスクコミュニケーションやコミュニケーション戦略の策定を担当する。その傍ら、ルワンダにおいて初めての子供向けのラジオ番組を立ち上げる。その後、子供向けテレビ番組も制作することとなる。これら子供向け番組関連動画はYouTubeで視聴することが可能であり、書籍内でURLが紹介されている。Itetero Radio、Rwandaといったキーワードで検索することで動画にアクセスできる(2022年1月4日現在)。本書第1章によると、番組名「Itetero」は「子供を育む場」という意味のルワンダ語であるとのこと。
ルワンダの様子が描写されるが、とても魅力的に感じる。また、著者が首都キガリから離れた村でルワンダについて説明を受ける場面があるのだが(「2 ルワンダってどんな国?」内)、その中に、大人たちが一日中畑仕事をしている、という部分があった。ルワンダの農業家は勤勉なのであろう。興味深く読んだ。
6.宮本久雄著/「ヨブ記」物語の今日的問いかけ(新世社、2006年)
『「ヨブ記」物語の今日的問いかけ』は宮本久雄の2005年10月15日の講演がもととなっている。
ヨブの受難を通じて著者は原題の苦難を考える。幼児虐待、ナチスによる強制収容という苦難が挙げられる。
7.竹内緑著/ルワンダ 闇から光へ 命を支える小さな働き(日本基督教団出版局、2016年)
『ルワンダ 闇から光へ 命を支える小さな働き』の著者は看護師として鳥取中央病院に12年間務める(巻末「著者紹介」による)。その後、1992年から2010年までNGO日本国際飢餓対策機構に所属、海外駐在スタッフとして主にアフリカの救急救援チームの一員として働く。2014年からルワンダで心に傷を負った人を支援する活動を行う。この本の中の年譜によると、著者はルワンダのほかにエチオピア、ソマリア、モザンビーク、アンゴラ等でも活動している。
著者によるフィルバート・カリサ牧師のインタビューも収録される。カリサ牧師はNPO「REACH」を立ち上げる。ジェノサイドの被害者と加害者の和解を促すための活動を行う団体である。
第二部の中の「人間の尊厳について」などが印象的だった。この文章の冒頭に『創世記』の文章がエピグラフとして記されている。ここでは、1980年代、著者が看護師としてICU(集中治療室)に勤務していた時のことが綴られている。延命治療について著者が問題意識を抱く様子が書かれていて、考えさせられた。そこでの経験が、著者がその後両親を自宅でみとることにつながったということが語られている。
(敬称略)
(上の七冊はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)
(上の画像はPlaygroundにより生成されたものです。(2024年7月21日加筆))
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