令和5年3月14日(火)、童門冬二の『宮本武蔵の『五輪書』』を読み終えた。kindle版をiPhoneのVoiceOverで聴いた。2002年に出版されたものがこの電子書籍の底本となっているとのことである。
五輪書の口語訳の後に著者の解説が付される。
著者は五輪書を「人間の自治の書」と位置付けている。「はじめに」において、ネットワーク社会の到来により、オーウェルの「一九八四」がほぼ現実化したとの認識が示されている。
機械から人間が逆に使われてしまうという現象から、武蔵の著作が注目されているのではないかと著者は分析する。
「序の巻」の中の「「原理の発見」につとめる」における著者童門冬二の分析が特に面白かった。「(以下引用)つまり、武蔵は自己という「個」から発して、それを普遍化しようと努めた(引用終わり)」。武蔵が剣の道を理論化したことについて述べたものであるが、これは五輪書の現代社会にも価値を持ちうる理由について説明するキーフレーズになりうるのではないかと感じた。
この『宮本武蔵の『五輪書』』は解説が分かりやすく、良かった。ブログ執筆者の場合、火の巻、風の巻の理解が進んだように思う。空の巻に関しては難解であり、とても理解したとは言えないが、イマジネーションが広がり、読書を楽しむというレベルでは十分に目的は果たせた。
童門冬二著/宮本武蔵の『五輪書』(PHP研究所、2015年電子書籍版出版)
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(敬称略)
(上の画像はAI PICASSOにより生成されました。令和六年八月二十一日加筆)
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