令和5年9月17日から24日までの期間に次の12冊を読み終えた。『眩人』以外の11冊はkindle版をiPhoneのVoiceOver機能で聴いた。
1.楡周平著/クレイジーボーイズ(KADOKAWA、2013年)
2.楡周平著/ミッション建国(KADOKAWA、2017年)
3.青山拓央著/分析哲学講義(筑摩書房、2012年)
4.ジョージ・R・R・マーティン著、酒井昭伸訳/竜との舞踏(下)(早川書房、2016年)
5.今野敏著/襲来 聖拳伝説(2)(朝日新聞出版、2023年)
6.今野敏著/激突 聖拳伝説(3)(朝日新聞出版、2023年)
7.岡本裕一郎著/教養として学んでおきたい現代哲学者10人(マイナビ出版、2022年)
8.那由多響慈著/事実は陰謀論より奇なり~人類家畜化計画2020~(SHIDOU出版サービス、2020年)
9.横川善正著/スコットランドを知っていますか:英国の影に埋もれた「石と水の国」の生き方とその魅力、教えます(22世紀アート、2021年)
10.千野隆司著/次男坊若さま修行中 名月の出会い(コスミック出版、2017年)
11.木村清孝著/華厳経入門(KADOKAWA、2015年)
12.松本清張著/眩人(中央公論新社、1998年)
〈感想、メモ〉
1.楡周平著/クレイジーボーイズ(KADOKAWA、2013年)
長編小説。ある九月、主人公上原哲治がマウンテンバイクでカリフォルニアの美しい風景の中疾駆する場面から物語が始まる。
主人公の父親は、日本の自動車会社で研究員として勤務していた。長年の研究が実を結び、画期的な開発を成し遂げる。しかし、特許の帰属の問題もあり、会社と法廷で争うこととなり、辞職する。主人公父子は渡米、父親はバークレー大学に再就職する。
そして冒頭場面となるのだが、その後物語は一転して父親は殺されてしまい、主人公は苦境に立たされることとなる。
アメリカ、日本が物語の舞台となる。後半、興味深く読んだ。
2.楡周平著/ミッション建国(KADOKAWA、2017年)
長編政治小説。フィクション。解説は村上貴史。
少子化など多くの問題を抱えた日本において、主人公甲斐孝輔がそれらの問題についての情報を収集したり、問題意識を周囲の人々と共有しようとしたりなどする姿が描かれる。
3.青山拓央著/分析哲学講義(筑摩書房、2012年)
「講義1 分析哲学とは何か」、「講義2 意味はどこにあるのか」、「講義3 名前と述語」、「講義4 文脈原理と全体論」、「講義5 意味はどこに行ったか」、「講義6 二つの自然と、意味の貨幣」、「可能世界と形而上学」、「心の哲学の眺望」、「時間と自由」という九つの講義が収められる。
ソール・クリプキ(Saul Kripke)の『名指しと必然性』についての記述を含む第七章が特に面白く感じられた。
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4.ジョージ・R・R・マーティン著、酒井昭伸訳/竜との舞踏(下)(早川書房、2016年)
『竜との舞踏』の上巻、中間、下巻の最終巻。この巻でもティリオン、デナーリスの登場場面が面白く感じられる。また、ヴィクタリオンの登場する第63章も印象に残る。彼の苦痛に対する態度など。
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上巻を読んだ記録を含む記事
中巻を読んだ記録を含む記事
5.今野敏著/襲来 聖拳伝説(2)(朝日新聞出版、2023年)
6.今野敏著/激突 聖拳伝説(3)(朝日新聞出版、2023年)
『聖拳伝説』の二巻目と三巻目。著者の歴史観(というよりもっとドライな作品の世界設定といったほうが良いのかもしれないが)や武術観を興味深く読んだ。
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7.岡本裕一郎著/教養として学んでおきたい現代哲学者10人(マイナビ出版、2022年)
子の書籍で紹介される哲学者は、マルクス・ガブリエル、ジャック・デリダ、ニック・ランド、フリードリヒ・キットラー、リチャード・ローティ、ジル・ドゥルーズ、ダニエル・デネット、クァンタン・メイヤスー、スラヴォイ・ジジェク、吉本隆明の10人である。
ローティとヨーロッパ哲学についての部分、デネットの自然主義についての部分が特に面白かった。
8.那由多響慈著/事実は陰謀論より奇なり~人類家畜化計画2020~(SHIDOU出版サービス、2020年)
「天皇の金塊」、「横田基地」、「日米合同委員会」といった話題が扱われる。日米合同委員会は先日読んだ今野敏の著作『キンモクセイ』にも登場人物たちの会話の中にその名前が登場していた。興味深い話題である。
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9.横川善正著/スコットランドを知っていますか:英国の影に埋もれた「石と水の国」の生き方とその魅力、教えます(22世紀アート、2021年)
スコットランドの歴史や文化が紹介される本である。
「第二章 石の国のなり立ち」の中の「マクベスの血脈」という節が特に面白かった。
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10.千野隆司著/次男坊若さま修行中 名月の出会い(コスミック出版、2017年)
稲葉家の次男である正高とその祖父である正武の活躍が描かれる時代小説。
「名月の出会い」、「季節の終わり」、「半べその顔」の三話が収録される。
11.木村清孝著/華厳経入門(KADOKAWA、2015年)
盧舎那仏を教主とする(「第一講」による)華厳経の入門書。
12.松本清張著/眩人(中央公論新社、1998年)
僧・玄昉が描かれる歴史小説。以下、印象的だった点。(一)大陸で玄昉が則天武后について調べる場面。(二)藤原広嗣の乱前後の動き。
(以上、敬称略)
(『眩人』はサピエ図書館所蔵の音声データで読みました。音訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)
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