松岡心平著『能の見方』などを読了
令和5年4月23日から27日までの期間に次の本を読み終えた。1.2.4.5.6.はkindle版をiPhoneのVoiceOver機能で聴く。
1.やましたひでこ著/捨てる。(幻冬舎、2018年)
2.藤原審爾著/総長への道 後編(KADOKAWA、2013年)
3.中野孝次著/道元断章 『正法眼蔵』と現代(岩波書店、2000年)
4.松岡心平著/能の見方(KADOKAWA、2013年)
5.内海聡著/医学不要論 全く不要な9割の医療と、イガクムラの詐術(三五館、2013年)
6.長尾剛著/論語より陽明学(PHP研究所、2010年)
〈感想、メモ〉
1.やましたひでこ著/捨てる。(幻冬舎、2018年)
断捨離とは、「(以下引用)ヨガの「断行」「捨行」「離行」の頭文字を取った言葉(引用終わり)」であることが第1章の中で述べられる。
上のようなバックグランドがあるので、著者の提唱する断捨離の対象はものばかりではない。情報などもそれに含まれる。情報との関係性を見極めることの重要性を述べている第5章が面白かった。
2.藤原審爾著/総長への道 後編(KADOKAWA、2013年)
昭和の任侠を描いた小説。昔気質の任侠である不動が中心となり物語が進行する。
主要登場人物の一人、信次郎の台詞で、(以下引用)「従兄がこの連隊の主計長をやってまして、そいつに相談したんですよ。そいつの意見だと、戦争はひろがるばかりで、景気のよいのは、軍需の工場だけになる。桐生も当分、景気はよくならねえ。このあたりで、景気のよい町は、大宮だろうというんです。(以下略)」(引用終わり)
景気に関する会話、興味深いと思った。この巻は、盧溝橋の事件や関門トンネルの工事の頃である。
ほか、不動、兼蔵、小林らの豊浦での活躍が描かれる「死人に口なし」、「墨染忍法」の章が印象的だった。
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3.中野孝次著/道元断章 『正法眼蔵』と現代(岩波書店、2000年)
『正法眼蔵』の「現成考案」の「前後裁断」の部分を点字で読みたく、本書を読む。ある現象とそれに続く現象を時間の推移の中に存在する因果関係によってつながっている、という認識で生活しているのだが、この「前後裁断」のような文章を読むと、立ち止まって考えることになる。著者の率直な語り口で道元の文章に接することのできる、楽しい本だった。
4.松岡心平著/能の見方(KADOKAWA、2013年)
能の歴史や各作品のストーリーが解説される本である。第二部の作品解説を興味深く読んだ。
和泉式部の登場する『東北』を聴いてみたいと思った。
5.内海聡著/医学不要論 全く不要な9割の医療と、イガクムラの詐術(三五館、2013年)
先々月、本書の著者内海聡の著書『ワクチンのすべて』を読んだ。本作『医学不要論』はさらに広いテーマが扱われている。
本書の第一部は「医学は必要なのか?」と題されている。タイトルでまず考えさせられ、読み進めると、さらに「医学の本当の目的は何か」という問いが置かれている。
多くの衝撃的な情報が収録されている本であるが、何より上記のような問いを自らで設定できるのか、ということを考えさせられた本であった。
6.長尾剛著/論語より陽明学(PHP研究所、2010年)
大塩平八郎が語るという設定で書かれた陽明学の本。王陽明、中江藤樹、熊沢蕃山、佐藤一斎、大塩平八郎、西郷隆盛といった人物たちについて語られる。
大塩平八郎と佐藤一斎の往復書簡について書かれた部分(第六章)が面白かった。語り手は朱子学を「御用学問」と表現する。昌平黌で教える佐藤一斎は、自らを陽明学者だとせず、朱子学者だと大塩への返書に記す。本書の語り手の大塩は立場もあり、そう書かなくてはならないだろう、と佐藤への理解を示している。
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(敬称略)
(中野孝次著『道元断章』はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)
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