令和5年3月19日(日)、令和5年3月20日(月)、次の本を読み終えた。すべてkindle版をiPhoneのVoiceOver機能で聴く。()内の年は電子版の発行年。
1.吉行淳之介/悪友のすすめ(光文社、2003年)
2.加地伸行/マスコミ偽善者列伝(飛鳥新社、2018年)
3.吉川英治著/親鸞(全一冊合本版)(講談社、2013年)
〈感想、メモ〉
1.吉行淳之介/悪友のすすめ(光文社、2003年)
令和5年3月20日時点でkindle unlimitedで利用可能。1976年に角川書店から刊行されたものがこの電子書籍の底本であるようだ。
著者と作家や漫画家との仕事や麻雀、酒などを通じての交流が描かれる。近藤啓太郎、安岡章太郎、長部日出雄、結城昌治、遠藤周作、藤原審爾、阿川弘之、色川武大らとのエピソードが収録される。
先日読んだ近藤啓太郎と安岡章太郎の対談本、『齢八十いまなお勉強』の中では吉行淳之介の思い出話が印象的だったが、この本では吉行の側から見た近藤と安岡が描かれているので、その点も興味深く読んだ。
〈近藤・安岡対談本『齢八十いまなお勉強』を読んだ記録を含む記事〉
2.加地伸行/マスコミ偽善者列伝(飛鳥新社、2018年)
新聞やテレビなどでの言説に対する著者による批判が収められた本である。
批判されるのは朝日新聞や池上彰、寺島実郎など。
この書籍には本文中や各パートの終わりに古典の文章が引用されており、これはブログ執筆者にとって魅力的な点だった。とても勉強になる。
例えば、「増税で福祉の財源を賄うな」というパートには、有若と哀公との問答が解説される。この対話においては有若がその時点での税率で税収が不足していると考えている哀公に減税を提言するのである(『論語』顏淵)。
「老生の立場について」と題された終章には研究者であった著者が自らの研究をベースとした講演(「文明の衝突から対話へ――アジアの宗教から考える」というテーマで行われたもの)が収められる。平成14年11月9日、関西大学法学研究所主催の現代セミナーでの講演・質疑応答(いずれも著者のパートのみ収録)。
著者加地伸行は1936年大阪市生まれ。
3.吉川英治著/親鸞(全一冊合本版)(講談社、2013年)
歴史小説。法然、慈円、佐々木盛綱・高綱兄弟らが登場する。
「氷雪篇」が特に面白かった。自らの苦境に望みをなくして迷う女性に対して親鸞が人間の魂は一つなのだと話す場面など、興味深く読む(「愚禿」)。
ほか、「田歌篇」の最初の章である「第二の華燭」も印象に残る。信州にあった親鸞が招かれて常陸に入る。常陸では、最初下妻にあり、後に稲田山のふもとに移ることになる。この稲田の草案は、筑波山を見ることのできる場所であったようである。彼は常陸で妻帯することとなる。
(敬称略)
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