令和5年5月1日から3日までの期間に次の三冊を読み終えた。kindle版をiPhoneのVoiceOver機能で聴く。
1.ホッブズ著、角田安正訳/リヴァイアサン 1(光文社、2014年)
2.倉山満著/右も左も誤解だらけの立憲主義(徳間書店、2017年)
3.松岡正剛著/千夜千冊エディション(KADOKAWA、2018年)
〈感想、メモ〉
1.ホッブズ著、角田安正訳/リヴァイアサン 1(光文社、2014年)
社会契約論の祖とも言われる本。学生の時に授業で引用、概要を聴いていたが、通読するのは今回が初めてである。読み始めると大変面白く、一気に読み終えた。第二巻を読むのが楽しみである。
この第一巻では自然法について書かれた部分が印象的だった。第十四章から第十五章がそれにあたる。自然権の定義は第十四章で示されている。以下引用。
自然法(レクス・ナトゥラリス)とは、理性によって発見された人倫すなわち普遍的な行動規範のことである。
引用終わり。
訳者によるあとがきもとても面白かった。翻訳に用いた英英辞典(Shorter Oxford English Dictionary)の話など、興味深く読む。
2.倉山満著/右も左も誤解だらけの立憲主義(徳間書店、2017年)
この本においては、まず、憲法がなんであるかが説かれ、日本の成文化された憲法について、それについてどう考えるか、また、どのように扱うのかといったことについての著者倉山満の考えが語られており、興味深く読んだ。
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長谷部恭男、石田勇治著『ナチスの「手口」と緊急事態条項』などを読了
「第一章 本物の憲法学とは法哲学である」の中の「九条を変えなければ拉致被害者を取り返せないという奴こそが敵だ」が印象的だった。ここでは、小泉政権時の事例を挙げたうえで、「(以下引用)拉致被害者奪還の足かせは、憲法九条ではなく、憲法九条を言い訳にしている惰弱な精神(引用終わり)」であるとの主張がなされる。この主張は先の小泉政権時の事例や過去の議論に基づいてなされており、読者としては自然と腑に落ちた。
また、以前読んだ『日本の思想』の著者である丸山眞男(本書ではこの旧字体での表記)についての評もあり(第四章の「吉野作造の言論を八つの柱で読み解く」の〈国家〉内)、興味深く読んだ。
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3.松岡正剛著/千夜千冊エディション(KADOKAWA、2018年)
連載「千夜千冊」の中から抜粋、まとめられたもの。道元の『正法眼蔵』やパスカルの『パンセ』、ボルヘスの『伝奇集』などについての文章が収められる。
ボルヘスにまつわる話や、著者の『正法眼蔵』の読み方の話などを興味深く読んだ。
(敬称略)
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