令和5年9月25日から30日までの期間に次の本を読み終えた。3~5の本はkindle版をiPhoneのVoiceOver機能で聴いた。
1.松本清張著/熱い絹 上巻(講談社、1988年)
2.松本清張著/熱い絹 下巻(講談社、1988年)
3.アイザック・アシモフ著、川口正吉訳/暗黒星雲の彼方に(グーテンベルク21、2012年)
4.多川俊映著/唯識とはなにか 唯識三十頌を読む(KADOKAWA、2015年)
5.中村整史朗著/尼子経久(PHP研究所、1997年)
〈感想、メモ〉
1.松本清張著/熱い絹 上巻(講談社、1988年)
長編推理小説の上巻。この小説は実際に起こった事件を題材にしている(下巻の解説による)。
物語は瑠古堂という骨董屋についての章から始まる。1967(昭和42)年の7月のある暑い日の夕刻、登場人物の一人、服飾デザインを業とする山形佐一は、ある路地の中で古美術瑠古堂という店の存在に気づく。彼は陳列されているカンボジアのものと思しきレリーフ像に引かれて店の中に入る。以上は冒頭の場面。
この上巻では、軽井沢で起こった外国人女性が被害者となる事件、そしてその事件に関連すると思われるマレーシアでの事件が描かれる。
2.松本清張著/熱い絹 下巻(講談社、1988年)
この下巻には、吉川勇一の解説が付される。この解説は『熱い絹』の背景をより知ることができ、参考になる。
3.アイザック・アシモフ著、川口正吉訳/暗黒星雲の彼方に(グーテンベルク21、2012年)
地球規模の核戦争の起った後の時代の宇宙を舞台とした長編SF小説。原題は’The Stars, Like Dust’。この原題は小説の主人公バイロン・ファリルが19歳の時に作った詩(彼の初めての宇宙旅行の際に作られたもの)の一部。
4.多川俊映著/唯識とはなにか 唯識三十頌を読む(KADOKAWA、2015年)
世親の『唯識三十頌』を玄奘三蔵の漢訳をもととし、解説、和訳される。
著者紹介によると、著者多川俊映は1947年奈良県の生まれ。
5.中村整史朗著/尼子経久(PHP研究所、1997年)
尼子経久を主人公とした歴史小説。以下、印象的だったエピソード。(一)経久による富田城奪還。(二)経久の領国経営、特に杵築大社との関係の作り方。
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(三)経久が上位者に従うかどうかの考えを『孟子』を引きながら論じる場面。紂王が武王に誅伐されたことが本当かと宣王が孟子に問う場面が引用される。
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〈参考図書〉
松本清張著/山中鹿之助(小学館、2015年)
佐野大介著/孟子(KADOKAWA、2015年)
(以上、敬称略)
(『熱い絹』の上下巻はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)
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