2023年4月28日から30日までの期間に次の本を読み終えた。1.と3.はkindle版をiPhoneのVoiceOver機能で聴いた。
1.岩下尚志著/芸者論 花柳界の記憶(文芸春秋、2017年電子書籍版)
2.北森鴻著/うさぎ幻化行(東京創元社、2010年)
3.中嶋修著/山東京伝の実像 馬琴の呪縛を解く(パブフル、2022年電子書籍版)
4.又吉直樹著/火花(文芸春秋、2017年)
〈感想、メモ〉
1.岩下尚志著/芸者論 花柳界の記憶(文芸春秋、2017年電子書籍版)
著者は新橋演舞場に勤務していたという経歴を持つ。巻末の略歴には新橋花柳界の歴史を調査研究し、社史『新橋と演舞場の七十年』を編纂した、とある。
本編においても新橋の話が面白かった。例えば、益田鈍翁ら明治期三井系財界茶人の会が新橋の料理屋などで行われ、芸者たちにも茶の道具の扱いの心得が要求されていた、といったエピソードなど。
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また、巻末には平岩弓枝による「「芸者論」に思うこと」という文章が収録されており、興味深く読んだ。
2.北森鴻著/うさぎ幻化行(東京創元社、2010年)
現代小説。連作推理。巻末の著者紹介によると、本作が遺作となるらしい。
飛行機事故により義兄を失った女性が遺された音声ファイルを手掛かりに義兄の足跡をたどる。義兄は音響技術者であり、音にまつわる物語が語られる。
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3.中嶋修著/山東京伝の実像 馬琴の呪縛を解く(パブフル、2022年電子書籍版)
現在、曲亭馬琴(瀧澤馬琴)の著作、『伊波伝毛乃記』によって山東京伝のイメージが作られている。この『伊波伝毛乃記』が悪意に基づく虚偽の書であることを本書において著者は論証する。
『伊波伝毛乃記』の中の京伝の家族に関する部分について検討する箇所など、興味深く読んだ。
4.又吉直樹著/火花(文芸春秋、2017年)
お笑い芸人たちが描かれる現代小説。登場人物たちの会話が面白かった。人を笑わせる、という行為について語られる場面は一種の「お笑い論」として読んだ。
(敬称略)
(『うさぎ幻化行』と『火花』はサピエ図書館の点字データで読みました。点訳ボランティアの皆様と関係者の方々に感謝申し上げます。)
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