令和5年3月10日(金)、上坂昇の『キング牧師とマルコムX』を読み終えた。kindle版をiPhoneのVoiceOver機能で聴く。
「はじめに」の最初のパートは「なぜ、いまキング牧師とマルコムXか」と題されている。この本の「あとがき」の日付は1994年となっている。公民権法が制定されてから30年の年である。
1929年生まれのマーティン・ルーサー・キングJr.と1925年生まれのマルコムX、同世代といって良いだろうこの二人の思想、その生涯がこの書籍には記される。
「キング牧師の思想」、「マルコムXの思想」、「キングとマルコムはどう違うか」、「現代に生きるキングとマルコム」という四つの章から成る。
キングについて書かれたパートで興味深かったのは、次のような事柄である。
キングにおけるソローとガンジー(ガンディとこの本では表記される)からの影響について書かれた部分、「貧者の行進」計画とその影響(リンドン・ジョンソンはこの計画によりキングから離れた、など)、キングのベトナム戦争に対する態度(最終的には反戦運動から反体制運動と呼べるようなレベルにまで展開したようである)など。
マルコムについて書かれた部分では、次のようなことが印象的だった。
「刑務所で開眼」というパートにおいて描かれる獄中での彼の勉学(英語の通信教育からラテン語の通信教育の開始にまで発展する)、「メッカ巡礼の旅」で語られる1964年の旅(ここでのオマール・アッザム博士との出会いなどがマルコムの思想に影響を与えたことが記される)など。
彼ら二人を同じ書物で扱うというアイデアは、ブログ執筆者のような読者にとってはありがたいものである。二人の思考の過程や背景をある意味並べて読むことで輪郭がより明瞭になったと思う。
上坂昇著/キング牧師とマルコムX(講談社、1994年)
(敬称略)
〈キング牧師について触れられた箇所のある本を読んだ記録を含む記事〉
1.ヴィジョンの必要性という文脈の中でキング牧師のヴィジョンと公民権法制定について語られる『ハーバードの正しい疑問を持つ技術』(ロバート・スティーヴン・カプラン著)
ジェイク・ナップ、ジョン・ゼラツキー著『時間術大全』などを読了
2.登場人物がキング牧師のスピーチを引用する『あたえる人があたえられる』(ボブ・バーグ著)
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